勤怠の40%は手書き、工賃は46.5%が現金手渡し。就労継続支援B型のIT活用とeNPS(従業員満足度)の調査結果を発表【支援者400名にアンケート調査】
AIニュースの要約
- 就労継続支援B型事業所におけるIT活用の実態調査が行われ、全国の支援者400名にアンケート調査を実施した。
- 勤怠の40%が手書きで集計され、46.5%の工賃が現金手渡しされるなど、依然として紙・現金中心の運用が続いていることがわかった。
- ITスキル研修を実施していない事業所が78.8%で、支援者の81.8%がAIツールを活用していない状況が浮き彫りになった。
- 支援者の満足度を示すeNPSは-22.75となり、不満が多いとの結果が示された。
- デジタル化が進まない背景には、行政の独自ルールや人手不足が影響していると推測される。
AIニュースの背景(推測)
福祉業界におけるデジタル技術の活用が遅れている理由として、さまざまな要因が考えられます。一つは、自治体ごとに異なる独自ルールが存在することです。特に、障害者の電子署名を認めないケースが多く、これが行政手続きの電子化を妨げています。また、福祉業界は慢性的な人手不足に悩まされており、それにより業務の効率化が実現されていないことも影響していると考えられます。さらに、福祉サービスを提供する現場のスタッフのITリテラシーが低く、ITスキル研修も不足しているため、デジタル化への移行が難しい状況にあります。
AIニュースの内容(詳細)
株式会社パパゲーノによる調査は、就労継続支援B型事業所におけるIT活用状況を把握し、支援者の満足度(eNPS)の実態を明らかにすることを目的としています。調査の結果として次のポイントが挙げられます。
- 勤怠管理と工賃支払い: 応答者の40%が勤怠を手書きで集計しており、現金手渡しで工賃を支払っている事業所が46.5%に達していることが明らかになりました。これは、依然として紙と現金に頼った運用が多い状況を示しています。
- IT利用の現状: 支援者の70.5%はほぼ毎日パソコンを利用していますが、全体として紙や現金を中心とした運用が残っていると報告されています。支援記録は18.8%が手書きで、36.5%がオフィスソフトを利用しています。
- ITスキル研修とAIの導入状況: 78.8%がITスキル研修を実施しておらず、AI(ChatGPTなど)の利用率も81.8%が未活用という結果でした。これは、支援者のITスキルやAI導入の進展が鈍いことを指摘しています。
- 従業員満足度の低さ: eNPSのスコアは-22.75で、多くの支援者が不満を抱えていることが明らかになりました。特に批判者の割合が高いことが問題視されています。
調査結果から、福祉業界におけるデジタル技術の導入が進まない構造的な課題が浮き彫りにされ、AIツールの導入とITスキルの向上が急務であるとされます。
ビジネスで活用する方法・可能性
この調査結果を踏まえたビジネスの活用方法や可能性に関して、いくつかのポイントを考察します。
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IT研修プログラムの導入: 福祉業界においてITスキルが不足しているため、専門家を招いての研修や e-learningプログラムの実施が必要です。特に、主に現場で働くスタッフ向けの実践的なコースが求められるでしょう。
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AIツールの導入と活用: AIチャットボットの導入や、業務支援アプリケーションの展開により、業務の効率化やコミュニケーションの円滑化が期待されます。AIを活用することで、過去のデータや問い合わせに迅速に対応できるシステムの構築が可能となります。
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行政との連携強化: 行政が持つ独自ルールや規制に対して、福祉業界が一丸となって委託や意見を出すことで柔軟な運用が実現できます。また、電子署名の認可を促進するための働きかけも重要です。
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データのデジタル化と一元管理: 勤怠管理や支援記録、工賃支払いに関するデータを一元管理するプラットフォームを開発することで、業務の軽減やトラブルの回避が可能です。情報共有がスムーズになることで、支援の質も向上します。
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新しい支援モデルの開発: 生成AIやITを活用した新たな支援モデルの導入を行うことで、障害者の可能性を広げる新しい取り組みが生まれるかもしれません。より多くの人に利用されることで、福祉業界全体のDXが進むことが期待されます。
本調査から得られた知見を基に、福祉業界のビジネスチャンスを探し、進化を遂げる可能性に着目することが重要です。今後、ICTを活用した効率的な福祉サービスの提供が求められており、それがビジネスチャンスに結びつくでしょう。
勤怠の40%は手書き、工賃は46.5%が現金手渡し。就労継続支援B型のIT活用とeNPS(従業員満足度)の調査結果を発表【支援者400名にアンケート調査】ChatGPTなどのAI(LLM)は「81.8%」の支援者が使っていないことも明らかに。株式会社パパゲーノ2024年11月5日 09時10分1
生成AIを活用した就労支援事業やAI支援記録アプリ「AI支援さん」の開発を行う株式会社パパゲーノ(代表取締役:田中康雅、住所:東京都杉並区)のパパゲーノAI福祉研究所は、全国の就労継続支援B型事業所で働く支援者400名を対象に実施した「就労継続支援B型事業所におけるIT活用の実態調査」の結果を発表いたしました。
本調査は、福祉業界におけるデジタル技術の活用状況や課題、働く支援者(スタッフ)の満足度(eNPS:Employee Net Promoter Score)の実態を把握し、今後の支援現場のあり方を見直すために実施されました。
調査の背景
総務省の調査では、産業別に見たDXの取り組み状況としては全ての業界の中で「医療・福祉」業界は最もDXが遅れていることがわかっています。一方で、障害福祉施設の人手不足は深刻です。中央福祉人材センターによると、2024年1月の福祉全般の有効求人倍率は「4.31倍」でした。2023年4月の正規職員の有効求人倍率は、一般企業等が「1.32倍」なのに対して、福祉全般は「4.50倍」、障害福祉は「6.56倍」と他業界と比較して必要な人員が足りていない状況が伺えます。就労支援B型事業所に対するアンケート調査報告書
また、2017年に日本財団が実施した「就労支援B型事業所に対するアンケート調査」によると、障害のある方の仕事(生産活動)としてパソコンを使った仕事をしている就労継続支援B型事業所は「2.9%」と非常に少ないことが報告されています。そこ
出典 PR TIMES