年間130万件のナレッジを活用し、保守業務で生成AIの実用化を開始

AIニュースの要約

  • 日立システムズが保守業務に生成AIを適用し、実用化を開始。
  • 年間130万件のナレッジを活用してエンジニアの業務を効率化することを目的としている。
  • 初期段階では報告書の自動作成機能を導入し、今後順次適用範囲を拡大する計画。
  • 保守業界における人材不足や技術継承の課題解決を目指している。
  • 日立グループ各社との連携を通じて、保守業務全体の効率化を図る戦略を展開予定。

AIニュースの背景(推測)

日本におけるIT人材不足の問題は深刻で、政府の予測によれば2030年には約79万人の人材が不足するとされています。この状況は保守業界にも影響を及ぼし、特に高齢者の退職に伴う技術継承の課題が鮮明になっています。業界全体でのノウハウの蓄積は進んでいるものの、現状では情報共有が不足しているため、効率的な人材育成や業務のスピード化が求められています。生成AIの導入により、これらの課題を克服する新たな手段が提供されることが期待されています。

AIニュースの内容(詳細)

日立システムズは、保守業務に生成AIを適用することを発表し、第1段階として2024年10月から報告書の自動作成機能を実装しています。この取り組みでは、年間130万件の蓄積された保守ナレッジをAIと組み合わせ、業務支援アプリケーションの開発を進めることが特徴です。具体的には、保守エンジニアが使用するスマートデバイスにおいて、以下の機能が実現されます。

  • 作業前の手順や危険ポイントを洗い出し、自動生成するチェックシートの導入。
  • 現場でのミスや事故を、写真を基に予測するKY(危険予知)の自動化。
  • 熟練技術者のノウハウを参照できるAIテクニカルサポート機能の提供。
  • 報告書の自動作成。

これらの機能によって、熟練の技術者が持つ知識を若手技術者にスムーズに伝えることができ、業務の品質を向上させると同時に、1,100時間以上の時間削減が見込まれています。

さらに、ステップ2として、保守を行う日立グループ各社との連携で効率化ノウハウを共有し、OT機器などの保守業務にも生成AIの活用を広げる予定です。最終的には、日立グループ全体における保守ナレッジをもとに、さまざまな業種での技術継承や業務効率化を進めていく考えです。

ビジネスで活用する方法・可能性

日立システムズの生成AI導入は、保守業務の効率化や技術継承にとって非常に大きな可能性を持つ革新的な取り組みです。ビジネスにおいて以下のような活用方法や可能性があります。

  1. 業務プロセスの効率化: AIを通じて作業手順の自動化やチェックリストの生成が可能になり、作業にかかる時間を大幅に短縮できます。特に、繁忙期や人材が不足している時期において、業務負担を軽減するのに役立ちます。

  2. 技術継承の助け: 自動化されたテクニカルサポートやAIによるノウハウの蓄積は、若手技術者の育成を加速します。このプロセスにより、熟練技術者から新しい技術者への知識の伝授が効率的に行われるようになります。

  3. 人的エラーの削減: 自動化ツールを使うことで、手動によるミスや事故を事前に予測し、危険を回避することが可能になります。このため、安全性が向上し、業務全体の信頼性も高まります。

  4. データ分析による戦略的意思決定: 生成AIを通じて蓄積されるデータは、今後の保守業務や戦略に対する洞察を提供します。これにより、よりデータに基づいた意思決定が可能になり、市場のニーズに迅速に応じることができます。

  5. 拡張性と応用範囲の広がり: IT機器への適用が成功した後、他の業種への展開が可能です。OT機器などの保守業務における生成AIの有効性を実証し、他の分野においても同様の手法が導入されることが期待されます。

以上のように、日立システムズの取り組みは、ビジネス界における保守業務の質を大きく変革し、より持続可能な業務運営を実現する可能性を秘めています。

年間130万件のナレッジを活用し、保守業務で生成AIの実用化を開始保守業界の人材不足解決のため、日立グループ保守ナレッジのサービス化に向けたファーストステップに着手株式会社日立システムズ2024年10月9日 10時01分0日立グループ保守ナレッジのサービス対象範囲
株式会社日立システムズ(代表取締役 取締役社長:柴原 節男、本社:東京都品川区/以下、日立システムズ)は、この度、保守業務に生成AIを適用し、実用化を開始しました。これにより日立システムズが提供する保守業務の効率化に取り組みます。そして、今後、保守業界における人材不足や高齢化による技術継承の課題解決に向け、日立グループの保守ナレッジと生成AIを掛け合わせて、フロントラインワーカーである保守エンジニア向けの業務支援サービス開発を推進します。
ステップ1として、2024年10月に日立システムズが担っているIT機器の保守業務において、生成AIを適用し、報告書の自動作成機能を実装しました。以降、順次適用範囲を拡張していきます。具体的には、年間130万件の蓄積した現場ナレッジと生成AIを組み合わせた各種業務支援アプリケーションを開発・適用し、保守エンジニアの技術継承と業務効率化に取り組みます。
ステップ2として、日立グループ内で保守を担っている各社と連携し、日立システムズがIT機器の保守業務を効率化する中で培った効率化のノウハウを、OT機器などIT機器以外の保守業務を行う日立グループ会社に提供することで、保守業務における共通的な業務を効率化します。
ステップ3として、日立グループ内で培ったさまざまな業種における「保守ナレッジ」×「生成AI」のサービスを提供し、人材不足や高齢化による技術継承の課題など保守業界全体の課題解決を図ります。

■背景
2030年にはIT人材が最大約79万人不足するとの予測を政府が発表*1

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出典 PR TIMES